もう一度抱いて
その時、グラスの中の氷が解けて、カランという音がやけに部屋に大きく響いた。


「トモオ君…」


「ん?」


「もういいよ」


「え…?」


「里桜が好きなんでしょう?

戻っていいよ…」


ドクンと、心臓がまた跳ね上がる。


永瀬の名前を聞くだけで、俺の身体はこんなにも大袈裟に反応してしまう。


「でも、お前…」


「もう、あんなバカなことはしないわ…。

あんな、自分を嫌いになるような行為は…」


きゅっと目を細めて、首を横に振る京香。


本当に、本当なんだろうか。


そんなこと言って、また一人になったら、同じことを繰り返すんじゃ…?

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