もう一度抱いて
「トモオ君はギターを弾いてる時が、一番輝いててかっこいいよ。

ギター弾くのが、好きなんでしょう?

そんな自分が好きでしょう?

だけど、里桜がそばにいないから、もう弾く気が失せちゃったんでしょう?

私…、トモオ君から音楽を奪ってまで、一緒にいたいとは思わないよ。

これ以上トモオ君と一緒にいたら、ますます自分が嫌いになりそうなの。

もう、絶対あんなマネはしないから。

だから…。

お願い…。

もう、行って…」


涙ながらに訴える京香。


「本当に…いいのか…?」


「うん…」


「本当に、大丈夫か…?」


「うん。大丈夫。

やっと、目が覚めたの…。

自分を嫌いになる行為はもうやめようって。

これからは、自分を好きになりたいって。

今、そう思ってるの。

その第一歩が、トモオ君を里桜に返すことだと思ってる」


京香がにっこり笑う。


今まで見たこともないような、綺麗な、明るい笑顔で…。
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