もう一度抱いて
キョウセイから少し身体を離して、背の高い彼を見上げる。


キョウセイは、最後に会ったあの日より髪が少し伸びていた。


サラサラの長い前髪の隙間から見えるのは、以前と変わらない優しい瞳。


キョウセイが私の頬に両手を置く。


感触を確かめるように、優しく包み込むように触れるキョウセイ。


「里桜…」


名前を呼ばれて、トクンと心臓がまた音を立てる。


「俺を、受け入れて…くれる?」


せつなく問いかけるキョウセイの顔を見つめると、涙が次から次へと溢れてしまう。


チラリ、キョウセイの手首に視線を移すと、私の手首にも同じようにつけてある赤いヘアゴムが揺れていた。


濡れた頬のまま、コクリ頷くと。


キョウセイは一瞬口角を上げて。


そのまま優しく、


私の唇に唇をそっと落とした。
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