もう一度抱いて
思わず、クスッと笑ってしまった。


パジャマをそっと元に戻すと、俺は頬杖をついて、里桜の寝顔をじっと見つめた。


すっかり青く染まった、目の下にそっと指で触れてみる。


「ごめんな…」


ぽつり呟いた。


ずっと、眠れなかったんだろう?


寂しい思いをさせて、ごめんな…。


でも、もう大丈夫だよ。


これからは…。


ずっと、こうしてそばにいてあげる。


だから、安心して眠っていいよ。


好きなだけ…。


眠っていいからね…。


里桜の頬に優しくキスをして、俺は彼女の首の下に自分の腕を入れ、そっと抱き寄せた。


しばらく里桜の寝顔を見た後、俺もそっと瞼を下ろした。


静かで、あたたかくて、優しい時間が、


そっと


俺達をいつまでも包み込んでいた。
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