もう一度抱いて
『なぁ、明日来れるのか?来れないのか?』


磯村君は、ちょっとイライラしているようだ。


「ま、まぁ、行けるけど…」


『じゃあ、決まりだな。後で住所をメールする。気をつけて来いよ。おやすみ』


「う、うん。おやすみ」


電話を切った後、はぁとため息が漏れた。


どうしよう。


ただでさえ、大学で会っているだけでもドキドキするのに。


それなのに部屋に二人きりなんて、またあの日の事を思い出してしまうよ。


磯村君はあの日の記憶がないから、別に何ともないんだろうな。


来月のライブに間に合わせたいから、必死になってるだけなんだよね。


別に、私に会いたいわけじゃない。


なんか私と磯村君って、温度差があり過ぎだよね…。


私は明日の事を思うと、なかなか寝付けなかった。

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