もう一度抱いて
次の日私は、磯村君から送られた住所をナビアプリに入れ、磯村君の家を目指した。


電車を降りて8分ほど歩くと、無事磯村君の住んでいるワンルームマンションに到着した。


部屋の前に着き、ドア横のインターホンを鳴らす。


しばらく待っていると、ガチャッと扉が開き、グレーベージュのVネックのカットソーを着た磯村君が顔を出した。


「おはよ。よく来たな。上がって」


澄んだ優しい声で言われて、頬に熱が帯びるのを感じた。


「お邪魔します」


ドキドキしながらサンダルを脱ぐ。


磯村君の後ろに付いて、小さなキッチンのある廊下を抜け、7畳ほどの部屋に足を踏み入れた。


家具はベットに本棚、パソコンデスク。


あとは、食事をする時に使うと思われる小さなローテーブル。


全体的にモノトーンで、黒っぽい部屋だ。


「はい、これ。お弁当とか、色々買って来た」


そう言ってコンビニの袋を手渡すと、磯村君は「ありがと」と言って両手で受け取った。

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