もう一度抱いて
私達は早速、床に座って歌詞を書き始めた。


私が思い付いたイメージを言葉にすると、磯村君が曲に合うように言い換えたり、もっとしっくり来る言葉に直してくれる。


私達はお昼を食べたり、お菓子をつまんだりしながら、飽きもせずにひたすら歌詞を書き続けた。


そうやって二人で頑張った結果、三曲の歌詞がついに仕上がった。


「やった~。出来た~」


嬉しくて、思わず両手を上げて万歳をする。


「出来たな。すげぇよ、アンタ。根性あるなあ」


磯村君も嬉しそうに笑う。


「せっかく出来たし、歌ってみるか」


「え…?」


急に言われてドキッとしていたら、磯村君がギターを取り出し、小さなアンプとギターを繋いだ。


「じゃあまず、この曲からね」


そう言って磯村君は、綺麗な細長い指でギターを弾き始めた。
< 51 / 479 >

この作品をシェア

pagetop