背中越しの春だった
3、ヒトメボレ
放課後、藤の周りには自然と人が集まってくる。
「藤、今日帰りどっか寄ってこうよ」
「カラオケ行こうぜ、カラオケ!」
友人に誘われて、藤はうーんと考える顔をしながらショルダーバックを抱えて、机の上にぺたんと座った。
「どうしよっかなぁ。一平が部活なかったら、一緒に帰るし」
「だったら山本も行けばいいじゃん」
「いや、カラオケだとあいつ来ないよ。一平ってあんな顔してオンチだからさ」
マジで、と笑いが起こる。
私も山本一平のわりと端正な顔を思い出して、思わず吹き出しそうになってしまった。
なんだか帰りがたくて、別に藤とカラオケに行くわけでもない私まで、
のろのろとその場に残っていた。
「藤、今日帰りどっか寄ってこうよ」
「カラオケ行こうぜ、カラオケ!」
友人に誘われて、藤はうーんと考える顔をしながらショルダーバックを抱えて、机の上にぺたんと座った。
「どうしよっかなぁ。一平が部活なかったら、一緒に帰るし」
「だったら山本も行けばいいじゃん」
「いや、カラオケだとあいつ来ないよ。一平ってあんな顔してオンチだからさ」
マジで、と笑いが起こる。
私も山本一平のわりと端正な顔を思い出して、思わず吹き出しそうになってしまった。
なんだか帰りがたくて、別に藤とカラオケに行くわけでもない私まで、
のろのろとその場に残っていた。