背中越しの春だった
私は体を起して、
上から藤の顔をのぞきこんだ。
「……藤?」
藤は目を閉じたまま、動かない。
唇がわずかに開いている。
私は吸い込まれるように、顔を近づけていく。
藤は……たぶん、私の気持ちを知っている。
自然と唇を重ねようとしたその瞬間、
藤の膝が私の下腹に直撃した。
「強姦!!」
「……っ……!!」
藤に蹴られたコカンのあまりの痛さに悶絶して、
私はその場に倒れこむ。
藤は起き上がって、そんな私を指さして笑った。
「マッキー、知ってる!? 同意のない性交渉は、
男女関係なくゴーカンっていうんだよ!」
私は痛みをこらえてなんとか体を起こし、
額を砂にこすりつけて、そのまま土下座した。
「ほんっとーに、申し訳ありませんでしたっ!!!!」
「反省してる~?」
「してます!!」
「アイスおごってくれる~?」
「おごります!!」
やったーラッキーと屈託なく笑う藤を前に、
私はただうなだれるように頭を下げて、
とても顔を上げられなかった。
死ぬほど恥ずかしかった。
あまりに無防備な藤の様子に、
自然と自分の持て余した気持ちをぶつけようとしてしまった。
すごく卑怯だったと思うし……本当に、恥ずかしい。
「ほんとに……ごめん」
力なく呟き、うつむいたままの私を、
藤はしばらくジッと見下ろしていた。
そして、ふいっと私の前からいなくなった。
そのまま、離れていく気配がする。
上から藤の顔をのぞきこんだ。
「……藤?」
藤は目を閉じたまま、動かない。
唇がわずかに開いている。
私は吸い込まれるように、顔を近づけていく。
藤は……たぶん、私の気持ちを知っている。
自然と唇を重ねようとしたその瞬間、
藤の膝が私の下腹に直撃した。
「強姦!!」
「……っ……!!」
藤に蹴られたコカンのあまりの痛さに悶絶して、
私はその場に倒れこむ。
藤は起き上がって、そんな私を指さして笑った。
「マッキー、知ってる!? 同意のない性交渉は、
男女関係なくゴーカンっていうんだよ!」
私は痛みをこらえてなんとか体を起こし、
額を砂にこすりつけて、そのまま土下座した。
「ほんっとーに、申し訳ありませんでしたっ!!!!」
「反省してる~?」
「してます!!」
「アイスおごってくれる~?」
「おごります!!」
やったーラッキーと屈託なく笑う藤を前に、
私はただうなだれるように頭を下げて、
とても顔を上げられなかった。
死ぬほど恥ずかしかった。
あまりに無防備な藤の様子に、
自然と自分の持て余した気持ちをぶつけようとしてしまった。
すごく卑怯だったと思うし……本当に、恥ずかしい。
「ほんとに……ごめん」
力なく呟き、うつむいたままの私を、
藤はしばらくジッと見下ろしていた。
そして、ふいっと私の前からいなくなった。
そのまま、離れていく気配がする。