ぼくらのうた
紙には、【1番大切な人】の文字があった。
恥ずかしがってる場合じゃ、ないんだ。
あたしと春樹が手を繋いだとき、百合子が戻ってきた。
百合子の腕には人体模型。
あの時と、一緒だね…。
「あいつ、結構速いな」
「うん、でも…負けたくない…ッ!」
「…おっけ」
口角を片方だけ上げた春樹は繋いでいた手を放して…
あたしを、横抱きにした。
「…?!は、るき…ッ?!」
「負けたくないんだろ?
俺に任せろッ!」
『負けたくないんだろ?
俺に任せとけってッ!』
そのまま春樹は1着でゴール。
2着になった百合子が、あたしたちに向かってきた。
「またあの時と同じ…。
私は人体模型、あなたは1番大切な人…。
こういう運命なのかしら…」