ぼくらのうた



 涼の髪を結ぶファーのゴムが頬に当たって、涙が出そうになる。


「藍架、呼んでるぞ」

「へ?うん…」


 芳斗に言われて、歩いて行ったら…お母さんが立ってた。


「お母さん?!え、なんで…?!」

「見に来ちゃダメなの?」

「や、ダメじゃないけど…」


 ここにいるってことは、聴いてくれたんだよね…?

 お母さんに、認めてもらいたい!!

 このままじゃ嫌だしっ!


「あの、お母さん…っ!
 あたし、」

「音楽やりたいのね?」

「っ、うん!あのメンバーでやりたいの。
 将来のことなんてまだわかんないけど、でも今バンドやりたいの!
 お願いします!
 続けさせて下さいっ!!」

「…わかった。そんなに言うんなら仕方ないしね」


 苦笑するお母さん。

 お母さん…ッ!

 わかって、くれたんだ…。



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