ぼくらのうた



「いやいや…」


 放心しそうなあたしをよそに、いつもの気合い入れ。


「んじゃ行くぞ!
 羽ばたけー!!Go!!!!」

「「「「The wing!!!!」」」」







「こんばんはー!!
 The wingのヴォーカル、光でーす!」

「こんばんはー!!
 ヴォーカル兼ギターの藍架でーす!」

「こんばんは、ドラムの芳斗です」

「こんばんはー!!♪
 キーボードの涼でーす☆★」

「こんばんはー!!
 ベースの春樹です!
 みんな楽しんでるかぁー!?」

「「「「おおおおぉぉ!!!!」」」」


 うわ…すごい

 3500人が、あたしたちの前にいる。

 …こわい。


「今日はクリスマスライブっつーわけで、1曲しかやんねぇからなー!!」

「「「「えええぇぇぇ!?!?!?」」」」

「じゃ、行くぜー!!」


 震える指先に力を入れた。

 大丈夫…大丈夫、だよ。

 けどいくら勇気付けてもだめで…

 どうし、よう…。


「あいか」


 誰にも聞こえないような、小さな声で誰かが呼んだ。

 ふと横を見ると光があたしを見ていた。


「お前も楽しめ」


 そう言って、いつもみたいに笑うから。

 不思議だけど、震えが収まった。

 光が合図を出す。

 それでいつもはTwinkle starに手を置く。

 …でも今日は、違うの。

 手拍子をする。



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