ぼくらのうた



「兄…?でも…、さっきうちに男はいないって言ってましたよね?」

「…よく覚えてるのね。
 そう、3年前に…死んだの」







 鈍器で頭を殴られたみたいだった。

 藍架の兄貴が死んでるなんて…。

 名前が直樹で、妹があいか…

 ……まさかな、な?

 俺は無意識に、電話をかけていた。


『…もしもし?』

「春樹…お前さ、腹違いの兄貴とかいねぇよな?」

『…?いねぇと思うけど、どうした?』

「や、何でもねぇ。…じゃ、な」

『…おう』


 腹違い、じゃ…ない?

 でもあれは…春樹、だ。

 他人の空似と言っても似すぎてる。

 血の繋がりがあるとしか思えない。

 少し…調べてみるか?

 …いや、プライバシーの侵害になるからな…。

 本人に聞くしかない、か。



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