ぼくらのうた
「〜…」
「…?」
校門をくぐったあと、微妙に声が聞こえた。
なんだろ?…行ってみよ。
あたしは気になって、声のするほうに行った。
「―…ッ」
着いたところは裏庭。
こっそり覗き込むと、見慣れた人がいた。
「春樹…?――ッ」
女の子と抱き合う春樹。
そして…2人の唇が、重なった。
見ていられなくて、あたしはとっさに逃げ出した。
気が付いたらもう、空は真っ暗で。
あたしの目の前には自分の家。
どうやって帰ってきたのか、わかんないや…。
「ただいまぁ…」
玄関にはお母さんの靴があった。
珍しい…いつも遅いのに。
リビングのドアを開ける。
「ただいま…」
「藍架、話があるの。座って」
「…あたし今疲れてるんだけど」