ぼくらのうた




「涼のこと?今頃部室にでもいるんじゃない」

「ふーん…」

「ちょっと話しませんか?」

「はぁ?何でアンタらなんかと。
 話すことなんてないわ」


 涼のこといじめてる奴等なんて、今喋ってるだけでもイライラしてくんのに。

 頭を掻く。

 だいぶしなくなったこの癖も、イライラするとすぐ出てくる。

 ってことはあんまイライラしなくなったってことだよね。

 今イライラしてるけど。


「あの人を――姉さんを虐げている理由、知りたくありませんか」


 姉さん?

 それに、少し辛そうな顔。

 なんでそんな風に…知ってほしい、みたいな顔してんのよ。


「…少しなら、いいけど」


 人目につかない場所まで移動する間、誰も喋らず…

 沈黙を守っていた。


「ここなら誰も来ねぇな?」

「多分ね」



< 226 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop