ぼくらのうた

《瑠依Side》



 今まで水羽家は奇跡的に第一子は男でした。

 そのおかげか、水羽家は安泰。

 跡目争いも起こらなかったんです。

 絶対的なカリスマ性を持ち、人を引っ張っていく。

 それが水羽家の第一子の役目。

 母は、妊娠しているかもしれないとわかって、すぐに病院に行きました。

 すでに3ヵ月経っていました。

 もちろんそれが第一子で、母は周りに助けられながらも日々を過ごしていました。

 そして――お腹の中には、3人の赤ちゃんがいました。

 それが僕たちです。

 三つ子だと知って、喜んでいた親戚はすぐに下ろせと言ったそうです。

 2人は男の子だとわかった。

 でももしたった1人の女の子が先に出てきてしまったら?

 まずその考えが脳裏を過ぎ去りました。

 でも母は自分の兄弟が生まれる前に亡くなっていたこともあり、

 周りを押しきって数ヵ月過ごしたようです。

 毎日毎日、先に男の子が出てきますように、そう祈りながら。



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