ぼくらのうた
「兄貴だって忘れるくらい、いい人なんだろ」
そう言って光は、やっとこっちを向いて笑った。
「…っ、」
あたしのココロが求めてたのは、春樹じゃなかった。
それに気付かせてくれたのは光だった。
今、初めて…光が眩しく見えたんだ。
「春樹?」
「んー?」
人がいない帰り道。
繋いでいた手を引っ張って、足を止めた。
不思議そうな顔の春樹。
ごめん、あたしは今からあなたを傷付ける。
でもこれ以上、このままではいられないから。
「…別れよう?」
「は…?」
ほんとの気持ち、伝えなきゃ。
じゃなきゃ…春樹に悪い。
「どういう…ことだよ?」
「あたし…春樹のこと、見てなかった。
なおにぃのこと見てた…っ。
ごめん、あたし…春樹のこと、なおにぃと被せて見てた…っ!」