ぼくらのうた





 春樹を見れなくて、下を向いた。

 ほんとは何度、叫びそうになった…?

 なおにぃ、なおにぃって…。

 本当は、気付いていたのに…。

 知らないフリをした。


「…俺と直樹さん…そんなに似てるんだな」

「…うん」


 そっくりすぎるくらい、そっくり。

 思わず涙が出たし…。


「わかった。
 でも…諦めねぇから」

「え??」


 いつもの笑顔の君。

 今、何て……?


「とりあえず別れるけど、でも諦めねぇから!」

「…春樹」

「ほら、帰ろうぜ?」


 自然と離れていく手。

 寂しい、なんて…思っちゃダメだよ。


「ありがとう…」


 このときのあたしは、あんなことを知るなんて…思ってなかった。

 想像すら、していなかったんだ。







「――え?今、何て…?」



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