ぼくらのうた



 何となく、勘づいてしまった。

 宏樹 直樹 春樹

 きの字が、全員一緒…。

 そういう、ことだったんだ…。


「納得、した」

「え?」

「あの人がなおにぃ嫌ってたことも、なおにぃと春樹が似てるのも…」


 だからこんなに、ココロが惹かれるんだ。

 半分半分血が繋がっていたなおにぃ。

 なおにぃ…?

 あなたのお父さんは、素敵な人だよ。


「宏樹パパ、んーん…お父さん。
 なおにぃは…あたしの自慢のお兄ちゃんだよ」

「そっか、…良かった」


 そう笑うお父さんは、やっぱりそっくりで…。

 涙が出そうになったけど、もう目を反らさない。

 なおにぃはあたしのココロの中で…生きてるんだ。

 “アイツ”に会うことももう一生ない。

 ゆっくりゆっくり…なおにぃへの気持ちを忘れよう。



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