ぼくらのうた



「はは、また会いに行くよ。
 …藍架」


 去って行く後ろ姿があのときと被った。

 コイツのせいで…コイツのせいでなおにぃは…!!!!

 手元にあった柄杓を握る。

 憎い…アイツがいなければ!!


「藍架、ダメ!!!!」

「はなしてぇッ!!」


 涼に抑えられる。

 何でこんなときにこんな力出すの。

 アイツだけは、殺してやりたいほど憎いのに……!!


「離してーッ!!!!」


 あか アカ 赤 染まっていく大切な人。

 アイツがいなかったら、今もなおにぃは笑ってるのに…っ。


「落ち着け!!」


 真っ正面から誰かに肩を掴まれる。

 なおにぃ?…違う、春樹だ。


「…――お兄さんが亡くなったことと、何か関係あるのか?」

「芳斗…そうだよ!
 何かあるんなら、涼にゆってよ!」



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