ぼくらのうた
この前も触れた、大きな手。
「…うん」
少し笑いながら、その手を握る。
幸せだった。
幸せすぎたんだ。
もうすぐその幸せが、消えてしまうことにも気付かなかった。
「あー楽しかった!!」
「うん!!」
にっこり笑って、プリクラを見る。
こうやって見ると、やっぱりちょっと似てるな…。
兄妹だし…仕方ないかぁ。
「ん?あれってこの間の…」
「え?…っ!!」
道の先を見れば、アイツが――いた。
固まるあたしに気付かずに、2人の距離は縮む。
何かされるんじゃ、そう思ってお兄ちゃんのシャツをぎゅっと掴んだ。
「こんばんは」
「、こんばんは」
いつも通りの笑顔。
お兄ちゃん、気付いて―ッ!