ぼくらのうた



 その人は印象的すぎて、姿を見てすぐ思い出した。

 何でこの人が、ここに…


「やあ瀬戸くん、あのとき以来だね」

「校長、先生…!?」


 冬に紛らわしい言い方をして、誤解を生ませた張本人。

 え、な、何で校長先生が光の家に…?!

 メイドさんたちは頭下げたままだし、まさか校長先生って…


「光の父です、よろしく」


 そう言って微笑む。

 あぁ、あのとき感じた腹立たしさは光の父親だったからなんだ…。

 納得したわ。


「て、光も隠し事してんじゃん!!
 人のこと言えないでしょ?!」

「お前、プリントも何も見ないわけ?
 普通に小坂って書いてあるぞ」


 そのとき、芳斗がプリントを渡してきた。

 何で持ってるのかは置いておきましょう。

 夏休み前に配られたプリントには、

 校長先生の名前のところにしっかりと『小坂』と書いてあった。



< 317 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop