ぼくらのうた



 あたしの気のせいだったのかな?

 君の声が少し、震えているように感じたんだ。


「でも…お前は少しずつ、あいつらの心を開かせていった。
 過去を共有するようになった。
 それが…ムカつくけど、羨ましくなった」

「え…?」


 カラコンなのかさえ知らないけど、茶色い目があたしを見る。

 さっきとは違う意味で心臓が鳴る。


「どうにもならないってわかってる。
 けど…俺も、知ってもらいたくなった」


 そう言ってすぐ、目を逸らしてしまった。

 目を、逸らさないで。

 あたしは君から目を 逸らさないから。

 ――君が抱えているもの、半分あたしに、分けてください。


「教えて。聞きたい…」


 2人向かい合ってソファーに腰掛けた。

 光は無表情で、俯いていた。


「始まりは親父の海外旅行だった――…」






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