ぼくらのうた



 確かにあたしも、みんなも…光に救われた。

 音楽と出会って、世界が変わった。

 今、伝えなきゃ。

 ずっと言えなかった、あの言葉を…。


「光…ありがと、ね」

「は?何が?」


 怪訝そうな光の顔。

 いい意味で自分のしたことに気が付いてないんだよね。


「あたしね…The wingに入れて、良かった。
 本当の仲間も出来て…過去と向き合うことが、出来た」


 真っ直ぐ光の目を見る。

 その茶色の目は、お母さん譲りなのかもしれない。

 でもね…どんな色でも、“あなた”で“光”だから。


「だから…ありがとう。
 音楽始めて、良かった!」

「…そうか、なら俺も誘って良かったよ」


 ふわりと微笑む光。

 胸の奥で高鳴る心臓。



< 331 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop