ぼくらのうた



「友達といっぱい遊んでこいよ。じゃな」


 ぽんぽんとあたしの頭を笑いながら撫でて、自分の教室に向かう春樹。

 仲良いとか、好きとか…そーゆーんじゃない。

 ただ、そばにいたいだけ…。

 春樹たちのそばにじゃない。

 あの人のぬくもりの、そばにいたいだけ…。

 マナもチカもみんな知らない。

 あたしだけのあなた…。







「あ、あれ…?」

「ん?どうしたの藍架〜?」

「マナ…なんか、教科書なぃ…」

「えぇ?!ちゃんと持ってきたの〜?」

「うん…」


 ちゃんと鞄に入れたし、机の中にも入れたのに…。

 なんで、ないんだろ…?


「ないものは仕方ないよ。
 授業遅れるし、行こ?」

「教科書見せるから!」

「ありがと!」


 まだまだこれは、序章だった…。







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