ぼくらのうた
素直に返事して、光を蹴ってから位置につく。
「いてっ!何すんだよッ!」
「すいませーん。
足が長くってぶつかったんでっすー」
「はぁ?!どこが長ぇんだよッ!」
「見て分かんない?!
目悪いんじゃない?!」
「2人とも早くーッ!」
「わかったよー…」
涼の言うことには正直に従う。
芳斗がスティックを叩く。
…1…2…3…
―ジャンッ!!
今なら少しだけ素直になって、言えるんだ。
音楽は楽しいッ!やってよかった!って。
伝えたら君は―どんな顔する?
一通り終えて休憩…。
歌も歌うから、喉乾くし。
「ほい」
「あ…ありがと、春樹」
「どういたしまして」
あの日夢を見てから、春樹の顔が見れない。
見上げた瞬間、あの人みたいに消えてしまいそうで…。