【完】君に贈る歌
それからというもの。
毎日毎日圭介はめげずに立花に話しかけるようになった。
あいつが惚れやすいのは知っていたけど、ここまでするのは初めてな気がする。
自分に振り向いてくれなかったら「やーめた」と言って他の興味に目をうつすのがいつもの圭介だ。
なのに今回は全くと言っていいほど立花にぞっこんだ。
と言っても、まだ出会って一週間しかたっていない。
「立花ちゃーん!これ、俺が作ってきた弁当♪よかったらおかず交換しない?」
「何女子みたいな事してんだよ」
「男子でもおかず交換ぐらいいいだろ!女子とか男子とか関係ない!」
「立花がそんなことするわけ・・・」
立花は黙って自分の鞄から弁当箱を取り出して、ふたを開ける。
そして玉子焼きを一つ箸でつまみ、圭介の弁当箱のふたに置いた。
「・・・いいの!?本当!?立花ちゃん!!!!」
圭介の目は輝きを増した。
立花はこくりと頷く。
圭介は周りの目を気にせず大きなガッツポーズをした。
俺はため息をついた後、購買で買った焼きそばパンを一口食べた。