【完】君に贈る歌
誰が俺を責めるわけでもない。
責めてくれるわけがない。
本当は誰かに怒ってほしかった。
誰かに本気で必要としてほしかった。
それをずっと俺は隠そうとして、壊れて、嘘をついて。
色んな人を裏切っては傷つけた。
俺を必要としてくれた人を。
俺を信用してくれていた人を。
俺を愛してくれていた人を。
「・・・立花」
俺はいつの間にか走り出していた。
目的地は決まっている。
本当は怖い。
今でも怖い。
俺の過去を知ったところで今の二人の関係に割って入る事はできないだろう。
むしろそれは俺が嫌だ。
だけど、伝えたかった。
自分の想い。
過去。
そして本気。