【完】君に贈る歌
「・・・立花こそ。なんで髪切ったんだよ」
そう言いながら立花にノートを返す。
少し困ったように俺を見つめてから、ノートに何かを書きこんだ。
そうやって俺らの会話は続いていく。
『なんとなく』
「なんとなくって、あんなに長かった髪を切るなんて何かあったとしか思えない」
『翔太君、私の質問に答えてない』
「・・・俺もなんとなくだよ」
『嘘つき』
俺らの間には少しだけ険悪なムードが流れていた。
少し会わない間に、立花はちょっとだけ変わっている。
何故なのか。
それはきっと圭介と付き合い始めたからだろう。
圭介が悪いわけじゃない。
ただ、圭介がいるから俺とはもうあまり関わりたくないと思われているに違いない。
「聞いてほしい。何も言わずに」
そう言って俺は立花からノートを奪った。
立花は一瞬返してという動作をしたけど、すぐに視線を落とした。
「ありがとう。立花」