【完】君に贈る歌


「翔太は最近弁当じゃないけど、おばさん作ってくれなくなったのか?」


ご飯をほおばりながら俺の前の席を陣取って話しかけてきた。


少しだけ隣に座っている立花の姿を気にしたが、特に問題はないだろう。

俺は事実を話した。



「最近浮気で忙しいんだと思うよ」



その言葉に圭介は唖然とした。

最後まで残していた立花からの玉子焼きを箸で掴んだまま。


・・・案の定その箸から滑り落ちるように玉子焼きは床に落ちた。



「お、おばさんが浮気?いやいやいや」


「玉子焼き落ちたぞ」


「・・・え!?あああああああああ!!!!!」



圭介の叫び声が教室中に響いた。

立花は何も聞いていないかのように半分は残っていたであろう弁当をしまって、席を立った。



一人でどこへ行ったのだろう。
隣のクラスに友達でもできたのか?


このクラスでは圭介がいるせいか、立花に女子の友達ができた様子はない。


「圭介さ、恋愛は自由だけどあんまり立花に迷惑かけんなよ」


「・・・」



俺の言葉は聞こえているのか、聞こえていないのか。


圭介はすっかり撃沈していた。
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