【完】君に贈る歌
『翔太・・・。もういいじゃん。あたしのとこおいで?』
甘くて、苦い言葉が俺を蝕んでいく。
それが例え自分の妄想だったとしても。
「さやか・・・」
言うはずないのに。
さやかが俺にそんなこと。
勝手にさやかを悪者にして、俺は結局逃げようとしている。
「・・・俺はなんて・・・」
~♪
「!?」
もうあれから電源をつけていないはずの携帯が音を鳴らした。
どうやらこの音はメールらしい。
恐る恐る俺は携帯を開く。
「寝ぼけて電源でもいれたかな。俺」
メールボックスを開くと見慣れないメアド。
そのメールを開いた瞬間、俺の瞳からは訳の分からない涙が出てきた。
『翔太、もう大丈夫だよ』
誰から届いたメールなのか分からない。
いや、本当は心のどこかであいつがいいと思っていた。
そうであってほしいと願った。
ちょっと前の俺ならオカルトなんて信じなかったけど、今の俺なら信じられる。
「さや・・・か?」
俺が名前を呼ぶと、携帯が震える。
見るともう一通メールが届いていた。