【完】君に贈る歌
◇友達
翌日。
俺が登校していると、少し前の方で立花ともう一人の女子が並んで歩いていた。
「友達か?・・・まぁ、良かったなとりあえず」
それが確認できただけでも収穫だ。
俺の親友のせいで友達ができないと思われても少し困るから。
・・・って言っても、ほとんど圭介のせいだけど。
登校する時間遅くして正解だった。
「翔太じゃん!」
後ろから圭介の声が聞こえた。
バンと背中を鞄で叩かれ、俺は叩き返した。
「もう少し手加減して叩けよ」
「ごめんごめん!笑・・・てか、今日登校すんの遅くね?珍しい」
「これからはこのくらいの時間に登校するよ。学校で寝てお前のバカ声に起こされるのもイライラするし」
「んだよ!せっかく起こしてやってたのに」
「どーも。あ、そうだ。前の方に立花がいてさ」
「え!?立花ちゃん!?」
「待て、落ち着け。行くな」
「なんでだよ!友達なんだから俺の恋の応援くらいしろよ!・・・もしかしてお前も立花ちゃんに惚れたのか・・・!?」
「俺の話を聞け。立花は誰か女子と歩いてたんだ。きっと友達だと思う。・・・圭介がひっついてたらいつまでも女子の友達ができないだろうし、少しそっとしとけよ」
「えー」
「えーじゃない。行くぞ」
立花とその隣の女子。
実を言うと楽しげに話している様子はなかったが、俺はそれを特に気にも止めなかった。