【完】君に贈る歌
*
「立花ちゃん不足・・・」
授業中も俺のところに来ないと思ったらこれか。
今朝、確かに立花の姿を見たはずなのに隣の席に立花はいなかった。
それを知った圭介はかなりまいっているようだ。
「まだ半日も過ぎてないのにそれかよ」
「だってここんとこ毎日立花ちゃんの顔を見て、話しかけて・・・って日々だったのに!それがいきなり途切れてみろ・・・。三食の飯を一食抜いた感じなんだぞ!」
「ちょっと俺にはその例えの意味がよく分からない」
「頭良いくせに分かんねぇのか!・・・あー立花ちゃん・・・」
「そんなに心配なら先生に休んだ理由聞いてみれば?」
「お前ちょっと冷たいな!あんだけ立花ちゃんの近くにいて心配じゃないのか!」
「いや、俺はあまり関わってないし。・・・まぁでも立花には少し感謝はしてるから心配っちゃあ心配だけど」
「た、立花ちゃんに何かしてもらったのか!?」
「女子だよ女子!休み時間になると俺の近くに来る女子たちがあまり近寄ってこなくなったんだよ」
「ああ~言われてみれば」
圭介はうんうんと頷く。
だけど言霊の力は恐ろしい物で、言ったらすぐに返ってくる。
「橘くーん!!」
「翔太くんと喋るの久しぶりな気がする・・・!」
「そりゃそうでしょ!立花さんと圭介が邪魔で近づきにくかったんだから!」
「確かに圭介くんだけだったらまだしもね・・・」
「というわけで!今日のカラオケ翔太くん絶対参加ね!」
俺は苦笑いで頷くしかなかった。