【完】君に贈る歌
「桔梗ちゃん?今の子誰なの?お友達?」
親戚の叔母さんが優しく声をかけてきてくれた。
そして寒いだろうからと言って暖かい上着も背中にかけてくれる。
小沢君は友達じゃなくて彼氏。
でももう別れます。
そんな事言えるわけもなく・・・。
私はノートに『分からない』とだけ書いた。
叔母さんは不思議そうな顔で「あらそうなの」と言って私を部屋まで連れて行ってくれた。
今まで私は親戚の家をたらいまわしにされてきて、いつも肩身の狭い思いをしてきたのだけど、ここの人は私を本当の家族の様に思ってくれる。
でもそれが私にとっては申し訳なくていつも遠慮してしまう。
そんな私だったけど、翔太君のおかげで徐々にそんなこともなくなってきていた。
駄目。
・・・翔太君の事は考えないようにしよう。