【完】君に贈る歌
翌日。
「おー。来てくれたか」
私は重い足を引きずりながら、約束の駅前までやってきた。
『どこに行くの?』
「内緒」
小沢君はそう言って私の腕を掴んでどこかへと進んでいく。
少し進むと公園が見えてきた。
そこで待っていたのは・・・。
「待たせてわりぃな高橋」
「あたしは全然待ってないよ。やっほー桔梗♪」
芽衣子ちゃんだった。
私は軽く芽衣子ちゃんに手を振った。
「多分この先で待ってくれてると思う」
「分かった」
これは、デート?
なんだか今の話、他にも誰かがいそうな予感がする。
少し疑問を持ちながらも二人のあとをついていく。
「待たせちゃってホントすいません」
「いいのよ圭介君」
「ああ。・・・それよりも、この子が」
また少しついていくと、車の横に大人の男性と女性が並んで立って私を見つめてくる。
なんだか誰かに似ている気がしたけれど思いだせなかった。