【完】君に贈る歌


「じゃあそろそろ行こう。皆乗ってくれ」


「ちょっと狭いかもしれないけど・・・。貴方達は細いから大丈夫よね」



私はぺこりと頭を下げて、芽衣子ちゃんの次に後部座席に乗った。

その後を小沢君が続けて入ってくる。




一体どこへ行くのだろう。

小沢君はデートと言っていたけれど、そんな雰囲気じゃない。



運転席に座っている人と助手席の人は一体誰?

芽衣子ちゃんは何か知ってるのかな?




色んな疑問が頭の中でぐるぐると回った。


「立花ちゃん」



そんな時、小沢君が私の名前を呼んだ。

だけどそれは付き合う前の呼び方。



「今日はすっげぇ楽しい日にしてやるから!!」



最後なのに?

終わりなのに?



そう言いたかったけど、私はノートに何も書かなかった。


ただ愛想笑い程度にしか笑えなかった。




きっと小沢君の気分を悪くしてしまっただろう。


目的の場所に到着するまで、私はずっとうつむいていることしかできなかった。
< 137 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop