【完】君に贈る歌



ここまで言われたら私に断ることなんて出来るわけがない。


『翔太君の歌を聞いたらすぐに帰ります』



そうノートに書いて、会場に入った。

翔太君のお父さんとお母さんはそれを見てとても嬉しそうにほほ笑んでくれたのを覚えている。



小沢君と芽衣子ちゃんは先頭に立って私を連れていってくれた。








会場に入ると、もうすでにたくさんの人が中にいた。


もしも私が声を失っていなかったら、きっとこの観客席ではなくステージ側に立っていたのだろう。


それも翔太君のために。






自分の席につくと、ステージが丁度光輝いた。


同時に司会者の人が出てくる。

開始時刻まであと少しだという事を私たちに伝える為に出てきた様子。





「あと10分くらいしたら始まるね!!」


芽衣子ちゃんの言葉にこくりと頷く。



時間が少しずつ迫ってくる中、会場になだれ込んでくるお客さんの数は少なくなり扉は閉められた。



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