【完】君に贈る歌



「・・・行って来い立花ちゃん」


小沢君は急にそう言って私を立たせた。




ステージの上では司会者が「あれー?橘君はどうしたのでしょうか・・・」と慌てている。


「立花ちゃんが代わりに賞状とトロフィーをもらうんだよ」



私は慌てて頭を横に振り、座ろうとする。

でも小沢君にそれを止められ、しかもずんずんとステージへと連れていかれる。




「おっと・・・?」


私と小沢君はとうとうステージへ上がってしまい、皆の注目の的になってしまった。


司会者の人も目を丸くして私たちを見つめている。



「橘翔太は俺の親友です!!!」


突然小沢君が大声でそう言った。


ざわついていた会場内も静かになる。



「そして、あいつが今日歌った歌はこの子に対して贈った歌です」



小沢君は私の背中をぐいっと押し出した。



「その賞状とトロフィーはこの立花桔梗が橘翔太に届けます。責任をもって。・・・だから、こいつに渡してやってください!!!!」



普通ならこんなこと受け入れられるはずがない。


だって、私たちははっきり言って部外者なのだから。




賞状やトロフィーを奪っていく窃盗犯なんじゃないかと思われても不思議はない。


でも、司会者はすぐにこの番組のお偉い人と話に言って私たちの前に戻ってきた。




私は今の現状についていけず、混乱していた。
< 144 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop