【完】君に贈る歌

*抑えていた気持ち



**


「急に抜け出したし、番組側の人怒ってんだろうなぁ」


ほんの少し黙っていなくなった事を後悔しながらも、俺は歩く足を止めない。




馬鹿たちが会場にまで足を運んでいたから、早めに姿を消さないと追いつかれてしまうかもしれないし。


・・・多分立花は来ないだろうけど。









一人道を歩いていると、通りすがる人や俺を追い抜く人たちがいる。


自らのこれからの予定で精いっぱいな人たちばかりなのだろう。

今日はなんていったってクリスマスイブ。



いつもとは違って騒がしい周り。

でも何も変わらない平和な日常だ。



会場を出るとまるで夢から覚めたような当たり前の日々に早変わり。


そんな風に感じた。





「・・・?」


でも少しだけ何か違和感を感じる。


それはそう。

俺が最初立花と出会った時の様なあの感じ。




馬鹿だな、と思いながらも俺は立ち止まった。



すると何かが俺の背中にぼふっと当たった。


あの瞬間がフラッシュバックする。


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