【完】君に贈る歌
「あー笑った笑った。ってかさ音痴とか・・・カラオケでそんなこと気にしてたら楽しめないだろ?」
「いいんだよ。他の人の歌聞いてれば」
「それじゃあ本当の楽しみはお前に伝わってないんだな・・・。人前で歌う解放感!すっげぇ最高だぜ!?リフレッシュ!」
「少なくとも他のところで俺はリフレッシュしてるからカラオケで歌えなくても対して困らないよ」
「じゃ、じゃあさ!例えば好きな子にカラオケ誘われて、二人きりのカラオケでずっとその子に歌わせてるつもりか!?」
「まずカラオケじゃない場所にかえるよ。二人きりなら楽しめるところ他にもあるだろ」
「まぁそうだけどさ・・・。翔太結構いい声してるのに勿体ないと思うんだよなぁ」
「圭介は俺の歌を聞いた事がないからそう言えるだけだ」
それから女子たちが帰った後、俺らは時間を延長してカラオケルームに残った。
俺の歌声を誰かに聞かせるのは中二以来だろうか。
「じゃあ歌うぞ。さっきの圭介の歌知ってるからあれでいいよな」
「おう!」
圭介は勢い込んだ。
イントロが始まり、俺はマイクを片手で握る。
「今のー俺にはー君しか~いなくて~」
それはそれはひどい俺の歌声を大体4分は聞いていた圭介はソファにぐったりしていた。
予想通りだ。
「だから言ったのに」
「・・・まじやべぇ」
「はぁ」
俺はマイクをテーブルに置き、氷がかなり溶けているコーラを一気に飲み干した。
「まっず」
かなり薄まっていたコーラは、今の俺らの空気と同じくらいまずかった。