【完】君に贈る歌


「翔太・・・今のなんだよ」


途中俺らの会話を聞いていることしかできなかった圭介が話しかけてきた。


「俺もよく分かんない」


「と、とにかく!あいつすごい剣幕で教室出て行ったし、絶対立花ちゃんの後追ったんだ!俺らも追いかけるぞ!」


「え、いや、俺は」


「行くぞ!」



圭介に腕を無理やり掴まれ、後を追う事になってしまった。


・・・関わらない方がきっと俺にとっては良かったかもしれないのに。





「二手に分かれるぞ!」



そう言い残し、圭介は三階に駆け上がってしまった。


俺らの学年は二階に教室がある。

三階が三年生で、四階が一年生だ。



「圭介は勝手だよなぁ・・・」


しょうがなく廊下を歩き始める。


何気に立花と高橋の姿を目で探しては歩き、探しては歩いた。




時計を見ると朝のHRまでまだ20分はある。

適当に探してれば時間はそれとなく過ぎていくだろう。




「・・・ん?」



見覚えのある後ろ姿が遠くに見えた。


あれは、この前の朝に見た光景。

立花ともう一人隣に女子がいて、一緒に登校していた時だ。




よく見ると立花の横にいたのは紛れもない高橋だった。
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