【完】君に贈る歌
「あっ!やっべ!!俺担任に呼ばれてたんだった・・・!先行くわ!」
「分かった」
「あたしも一緒に行くよ!ちょっと先生に用があるし」
「なんだよ!高橋がついてくんのかよ!どうせなら立花ちゃんがよかったなぁ・・・」
「うるさいなー!いくよほら!」
「いてててて!耳引っ張んなよ!」
俺と立花は何故か二人取り残されてしまった。
まだ弁当を食べ終わっていない立花と、とっくの昔にフィッシュバーガーを食べ終わっている自分。
なんとなく気まずい。
と、思っていると立花がじーっと俺を見ていた。
「どうした?」
「・・・」
立花は自分の弁当と俺を交互に見る。
「あー、大丈夫だよ。食い終わるまで待ってる」
「・・・♪」
嬉しそうに微笑んだ立花は再び弁当をつつき始めた。
なんだろう。
このふわふわした感覚は。
うるさい二人がいない空間は、とても静かで風の音がよく聞こえる。
何も考えずただ空を見上げる。
青く澄んだ空が一面に広がっていた。
「なぁ立花」
俺は、何気に触れていなかった事を思い切って立花に聞いてみる事にした。