【完】君に贈る歌








白いカッターシャツに赤色のネクタイ。

紺色のブレザーとズボン。



全て着なれた制服だ。



「・・・まだ早いけど暇だし学校行くか」


俺の通っている高校までは徒歩15分程度。


まだ時間は早いけど校門は開いているだろう。




持ち慣れた鞄を肩にかけ、いつもの靴を履く。
そして家の玄関を開けて外に出ようとした。


タイミングを見計らったように、ぶわっと春の香りが風と共に入ってきた。




「無駄にいい天気だな」


一人呟きながら扉に鍵をかけ、一歩を踏み出した。






春を感じながら歩く学校までの道は少しだけ気持ちが軽くなる。

何も考えなくてもいいから。




だけど今日は何かがひっかかる。

この違和感はどこからくるのだろうか。




毎日通っている通学の道。

変わらない風景。

何がいつもと違うのか。




ピタッと俺が立ち止まると、背中に誰かがぶつかってきた。


「・・・ん?」


後ろを振り返り少し目線を下にすると、そこには俺の高校の制服を着た長い黒髪の女の子がいた。





< 3 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop