【完】君に贈る歌
「今まで倒れたりとかなかった翔太が保健室行きだから、クラスはもう大混乱だったよ。特に女子」
「本当だよねー。あたしもびっくりしたけど」
立花もその隣でこくこくと頷いた。
俺は・・・。
立花にひどいことをしてしまったのかもしれない。
自分から立花の歌声を聞きたいと言ったようなものなのに、ちゃんと曲を聞かずに勝手に気絶した。
しかも"悪魔の歌声"とまで思ってしまった。
───最低だ。
俺は高橋と圭介がこっちを見ていない瞬間を見計らって、立花の腕を掴みベッド側にぐいっと引っ張った。
「さっきはせっかく歌聞かせてくれたのにごめん。今度はちゃんと聞くから」
自分の決意も含めて、立花の耳元でそう呟いた。
立花は笑顔でこくりと頷く。
「あああ!!翔太!立花ちゃんが近いぞ!?」
「ちょっと!小沢君どさくさにまぎれて桔梗に触ろうとしないでよ!孕む!」
「はぁ?孕むってなんだよ!俺はどういう存在なんだ!」
「いいから桔梗に近づくなーっ!」
一応俺病人なんだけどな。
そう言いかけたけど、言うのはやめた。
だって立花が笑ってるから。