【完】君に贈る歌
「・・・あー。その事だけど」
「ん?」
「もうあいつ俺のもんだからごめん」
数秒の間、圭介は思考回路が停止したのか全く動かなくなった。
「しょ、翔太今お前・・・なんて?」
「立花とこの間から付き合う事になった。言うの遅れてごめん」
「・・・嘘だろ?」
「嘘じゃない」
「な、なんで」
「好きになったから、が理由じゃ駄目か?」
今俺はすごく馬鹿な事をしていると思う。
最初から立花に対して好意を抱いていた圭介を、一番近くで見てきたのは俺だった。
なのに・・・。
立花の隣は今俺のものになっている。
俺自身、立花を好きだと言う気持ちは嘘だ。
立花の全てを壊すために仮で付き合っているだけ。
でも付き合っているのは事実。
圭介にも俺の心のうちを話すわけにはいかない。
「・・・一発殴らせろ」
だから、圭介の言われた事ならなんでも受け止めようと思った。
「分かった」
これで圭介との友情が終わったとしても俺は後悔しないだろう。