【完】君に贈る歌


**


あっという間にテストが終わり、夏休み。



「きゃああ!桔梗良かったじゃん!!!」


「・・・うん!」


最近は立花の言葉も増え始めた。

そのおかげか高橋も笑顔が増えた気がする。


元々良く笑う子だったけど。


「立花ちゃんが羨ましい・・・」


「そんなに落ち込むなよ圭介。一教科だけだろ?」



残念ながら今回のテストで赤点をとったのは圭介だけ。


立花はなんとか赤点を回避し、今喜びの真っ最中だ。




「去年よりは夏休みを満喫できるけどよぉ。でも一回も学校来ないでいいって言う夏休みを味わってみてぇよ・・・」


「来年頑張るんだな」


「・・・翔太!手伝ってくれ」


「分かった分かった」











そして、俺と立花の仲。


それは劇的に変わったものだった。




「翔太君」


「ん?どうした立花」



立花は俺の事を名前で呼ぶようになり、積極的になった。



「・・・手、繋ぎたい」


登下校も最近は二人きり。

高橋と圭介は俺達に気を使ってくれていると俺は思っている。



「分かった」


ぎゅっと俺の手を握ってくる立花の手のひら。

夏なのに少しひんやりしていて心地いい。



「翔太君、私・・・。翔太君の事大好き」


「俺もだよ」
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