【完】君に贈る歌
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あっという間にテストが終わり、夏休み。
「きゃああ!桔梗良かったじゃん!!!」
「・・・うん!」
最近は立花の言葉も増え始めた。
そのおかげか高橋も笑顔が増えた気がする。
元々良く笑う子だったけど。
「立花ちゃんが羨ましい・・・」
「そんなに落ち込むなよ圭介。一教科だけだろ?」
残念ながら今回のテストで赤点をとったのは圭介だけ。
立花はなんとか赤点を回避し、今喜びの真っ最中だ。
「去年よりは夏休みを満喫できるけどよぉ。でも一回も学校来ないでいいって言う夏休みを味わってみてぇよ・・・」
「来年頑張るんだな」
「・・・翔太!手伝ってくれ」
「分かった分かった」
そして、俺と立花の仲。
それは劇的に変わったものだった。
「翔太君」
「ん?どうした立花」
立花は俺の事を名前で呼ぶようになり、積極的になった。
「・・・手、繋ぎたい」
登下校も最近は二人きり。
高橋と圭介は俺達に気を使ってくれていると俺は思っている。
「分かった」
ぎゅっと俺の手を握ってくる立花の手のひら。
夏なのに少しひんやりしていて心地いい。
「翔太君、私・・・。翔太君の事大好き」
「俺もだよ」