【完】君に贈る歌
「夜店いっぱい出てるな。立花、なんか欲しいものとかある?」
「た、たこ焼き」
「たこ焼きね。買ってやるよ」
「えっいや・・・私、自分で」
「立花ちゃん!そこは翔太に甘えるべきだよ!」
さっき高橋に叩かれた頬をさすりながら圭介はそう言った。
俺らは少しその様子を笑いながら先に進む。
夜店でりんごあめやわたあめ、たこ焼き、チョコバナナなどをたくさん買って、久しぶりに四人ではしゃぐ。
ふと気付くと、通りすがる男子たちがひそひそと話している声が聞こえた。
「あの白にピンクの花がついてる浴衣着てる子可愛いな」
「誘ってみる?」
「いや、でもよく見ると男つきじゃね?」
「あんな男たちより俺らの方がいいって」
俺は少し複雑な気持ちになり、近くにあったお面屋でうさぎのお面を買った。
そしてそれを立花の顔につける。
「・・・!?」
「つけとけ」
「・・・??」
圭介と高橋も理由は分かっていないようだった。
「ほら、そろそろ花火あがるんじゃないか?行くぞ」
俺はスタスタと歩き出す。
その後ろを一生懸命ついてくる立花。
そしてその後を高橋と圭介。
立花はお面をしているせいか、足取りがおぼつかないようだ。
「掴まれ」
「・・・うん!」
俺の手を立花はしっかりと握ってくる。
それと同じ瞬間から遠くの方で花火の打ちあがった音が聞こえた。