【完】君に贈る歌
「綺麗・・・!」
花火がよく見える場所にやってきた俺たち。
第一声をあげたのは高橋だった。
高橋の言葉に立花は思い切り頷く。
「ここならお面外してもいいぞ」
立花はお面を外し、もう一度空を見上げる。
その横顔はとても嬉しそうだった。
俺と立花の手は繋がれたまま。
花火と共に時間は過ぎていく。
「翔太君、綺麗だね」
「そうだな」
「一緒にみれて良かった」
しかし、花火がもうすぐ中盤に差し掛かろうとした時大粒の雨が俺らを襲った。
周りにいた人々が一斉に引き上げる。
花火も中止になるという放送が流れた。
「行くぞ立花」
「うん」
高橋と圭介はこの人ごみの中ではぐれてしまったようだ。
とりあえず立花と一緒にどこか屋根のある場所に避難するしかない。
「走れるか?」
「・・・頑張る」
俺らは手を繋いだまま走り出した。