【完】君に贈る歌
「・・・じゃあいいよな?」
うむを言わせず俺は立花にキスをする。
いつもの優しい触れるだけのキスじゃない。
全てを奪いとるような長いキス。
舌と舌を絡め合わせる熱いキス。
「んっ・・・」
俺とのキスを立花は拒んだことはない。
むしろしたいと言ってくるくらいだった。
だけど、今回ばかりは逃れようと必死でいる。
キスの間に俺は右手を移動させ、立花の二つのふくらみの片方に手を置いた。
「・・・んんっ!」
ゆっくりと俺の手が立花の肌に触れ始める。
まだ風呂での熱を帯びた体温が俺に伝わってきた。
「優しくしてあげるから」
そう耳元で囁き、そのまま首筋に軽くキスをする。
「・・・やっ」
立花の体は震えていた。
怖くて、しょうがないと訴えるように。
例え好きな相手でも最初は怖いに違いない。
でも俺はそれを分かっていて行動に移した。
「・・・」
最後までシてしまえばいい。
傷ついてしまえばいい。
そう思っているはずなのに、俺の体はそれを拒んだ。
代わりに優しく立花のおでこにキスをして、自分の財布からホテル代の金を抜き部屋を出た。