【完】君に贈る歌
「橘ー!昼休みサッカーやろうぜ」
遅刻ギリギリに入ってきたクラスメイトがいきなり大声で俺に言う。
「分かった」
これも大体いつもと同じだ。
「ちょっ!!サッカー!?俺も混ぜろよ!翔太いいよな!?」
「いつも自分からいきなり参加する奴がよく言うよ」
圭介もすぐに元気を取り戻し、自分たちの席に座った。
キーンコーンカーンコーン。
チャイムが鳴り担任が入ってくる。
「起立。礼。着席」
このクラスの委員長の声が響き渡り、朝のHRが始まった。
「えー今日から新しいメンバーがこのクラスに加わる事になった」
俺は担任の言葉を聞いた途端ピンときた。
・・・転校生だ。
それはきっと朝出会ったあの子。
「入りなさい」
ガラガラと扉が控えめに開き、教室に入ってきたのは紛れもないあの黒髪ロングの女の子。
「・・・」
黙ってうつむいているその子の後ろで担任が黒板に名前を書く。
【立花桔梗-タチバナキキョウ-】
「彼女の名前は立花桔梗だ。仲良くしてやってくれ。立花、自分で何か言っとくことあったら言ってもいいんだぞ」
「おいおい翔太!漢字は違うけど読み方同じの苗字とか運命感じちゃうんじゃね!?」
「小沢!静かにしろ」
圭介の言葉をきっかけに教室内はざわめき始め、おさまることがなかった。
結局、出席番号繋がりで立花は俺の隣の席になった。